コロナ最新情報と医療機関を守る取り組み

大泉生協病院 院長 齋藤 文洋
大泉生協病院 院長 齋藤 文洋

新型コロナウイルスが日本にやってきて、もう一年が過ぎました。もう十分にお付き合いしましたので、そろそろお暇していただきたい、と箒を逆さまにして玄関に置いているのは私だけでしょうか?
そうは言っても、依然猛威を振るうこのウイルスにこれからどう向かうのか、そして医療と健康をどう守っていくのか、今重要な時点に立っています。

1. 新型コロナウイルスの状況

まずは新型コロナウイルスの状況から。東京都が毎日発表するPCR陽性者数は年明けまもなくをピークに減っている様に見えます(グラフ参照)。陽性率も少しずつ減少し、重症者数も徐々に減っている感じです。
私の職場である大泉生協病院の現状もだいたい東京都と同じ様に経過しています。
年末年始の頃にはPCR陽性率は30%に達しようかと言う程となり、発熱外来も手一杯の状況。更に中等症程度の新型コロナ肺炎の方は入院もままならなくなった為、当院は疑似症入院だけでなく急性期の患者さんの入院を保健所から受けることにしました。
2月に入った頃から発熱外来も少し余裕ができ、高齢者の方で肺炎と診断される方も減少しています。1月7日に発布された緊急事態宣言が功を奏しているのでしょうか?

それでも新規PCR陽性者(感染者ではありません)は500人/日を切るかどうかと言うところ。安心できる状況とはとても言えません。

東京都のPCR陽性者数推位
東京都のPCR陽性者数推位

2. ワクチンについて

最近で最も大きな話題といえば新型コロナウイルスワクチンでしょう。日本で使用が予測されているワクチンはファイザー・ビオンテック、モデルナ、アストラゼネカ各社の3種類で、前2者がmRNA(メッセンジャーアールエヌエー)ワクチン、アストラゼネカがベクターワクチンと言う種類です。
いずれもヒトに対しては初めて使用されるワクチンですが、既にアメリカやイギリスをはじめとしたヨーロッパ、中東などで積極的に使用され、世界中で既に1億3150回の接種が行われています。これは世界の人口の1.7%。既に世界で最もヒトに接種されたワクチンの一つと言って良いでしょう。
副作用についても大体わかってきました。多くの人が心配している「重篤なアレルギー」は10万接種あたり1ー2回起こるようです。練馬区であれば人口74万人ですから、多く見積もって15人くらいに起こるでしょう。幸い生命に関わった人はいません(2月8日現在)。

問題はその保存方法。特に最初に使用されるファイザー・ビオンテックのワクチンはマイナス75度で保存しないといけない上に、195本(1本は6回分)が1セット。この1セット=195×6=1170回分をなんと10日間で使い切らないといけない条件があるのです。これを一つの医療機関がやろうとすると毎日100人以上に注射をすることになって、これは無理です。
そこでどうやって小分けするのかと言うことを考えたのが、最近メディアで有名になった「練馬区モデル」。医師会と練馬区で考えました。この文章を書いている齋藤も医師会役員としてこのモデルの提唱者の1人と言うことになります!

3. 「つながり」が重要

最後に、医療と健康を守るために。新型コロナウイルスは病原性もさることながら、社会自体に与える影響も甚大です。社会を分断する異常事態、これこそがこのウイルスの最も恐ろしいところです。
今誰の目にも明らかに健康格差が拡大し、貧富の格差も増大、経済が翻弄されています。ここを乗り越えるには「つながり」が大切です。
いかに「分断」に対抗するのか?それこそが医療と健康を守る最も重要な戦い。分断の解消は何もアメリカだけの問題ではありません。私たちの目の前にも立ちはだかっています。みんなで「つながる」方法を考えましょう。