病気Q&A「頭痛くありませんか?」

回答者 大泉生協病院 内科 井上 照大 先生

(聞き手 編集部)


過ごしやすい時期になってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は頭痛についてお題を頂いたのでお話します。
さて突然ですが皆さん、頭は痛くないですか?私は不慣れな原稿を依頼されて頭が痛いです。
冗談はさておき、頭痛の種や頭が痛い話など、頭痛は困りごとの代名詞として使われることがありますよね。頭痛はそれくらい一般的な症状であり、皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。一説によると90%以上の人が一生のうちに何らかの頭痛を経験し、日本人の4割くらいが慢性的な頭痛に悩んでいるそうです。このように頭痛はありふれた症状なわけですが、その原因は色々とあり、中には注意が必要なものもあります。
それでは、皆様の頭が痛くならないよう、なるべくわかりやすく説明していきます。

Q そもそも頭痛とは?

A そもそも頭痛とは頭部の一部あるいは全体の痛みの総称のことを言います。原因から一次性頭痛、二次性頭痛に分類されます。
頭蓋内に限らず頭痛の原因となる何らかの疾患があって発生する頭痛を二次性頭痛と言います。すなわち原因がはっきりしないものを一次性頭痛と言います。
頭痛の訴えで外来を受診される方のほとんどがこの一次性頭痛で、よく耳にする片頭痛や緊張型頭痛はこれに含まれます。一次性頭痛はたいていの場合、慢性的に繰り返しており、いつも同じ性質です。詳細な治療については成書に譲りますが、一次性頭痛の発作時には一般的な鎮痛薬を使うことが多いです。
また片頭痛発作にはトリプタン製剤を使用することもあります。片頭痛発作の予防としては睡眠時間の確保や節酒などの生活習慣の改善に加え、カルシウム拮抗薬や三環系抗うつ薬がありますが、今年CGRP関連抗体治療薬が本邦でも承認され、治療の幅が広がっています。

一つ注意点として鎮痛薬の飲みすぎでも頭痛が出ることがあります。このような頭痛を薬剤乱用頭痛と言います。鎮痛薬以外にカフェイン(コーヒー、緑茶、コーラ、栄養ドリンクなど)でも起きますので、気を付けてくださいね。

Q 早期受診が必要な頭痛とは?

イラストA 一次性頭痛は患者さんとしてはもちろんつらいのですが、一般的には二次性頭痛の方が生命や予後にかかわることが多く、緊急治療を要します。なので、頭痛の診療はまずは二次性頭痛を除外するところから始まります。
二次性頭痛の原因となる疾患としては、くも膜下出血や脳出血、頭蓋内動脈解離、髄膜炎などが挙げられます。聞いただけで危ないと思いますよね。でも一次性と二次性かなんて自分ではわかりませんよね。
そこで以下に二次性頭痛を疑う危険兆候(レッドフラッグサイン)を示します。

  1. 突然の頭痛
  2. 今までに経験したことがない頭痛
  3. いつもと様子の異なる頭痛
  4. 頻度と程度が増えていく頭痛
  5. 50歳以降に初発の頭痛
  6. 神経脱落症状(言語障害や麻痺など)を有する頭痛
  7. 癌や免疫不全の病態を有する患者の頭痛
  8. 精神症状を有する患者の頭痛
  9. 発熱・項部硬直・髄膜刺激症状を有する頭痛

今、頭痛があるあなた、大丈夫でしたか?もし一つでも当てはまるようなら、早期の受診をお勧めします。
ここまでお読みくださりありがとうございました。頭痛には様々な原因があり一括りにできないのですが、本稿が皆様のご理解の一助になれば幸いです。昨今はマスクを長時間着用することによるマスク頭痛なるものも言われるようになってきております。
コロナ禍で頭の痛い日々が続きますが、どうぞお気をつけてお過ごしください。