ドクター紹介 相原 力 先生

ドクター紹介 相原 力 先生
竜泉協立診療所 所長・香川医科大学卒(現 香川大学医学部) 相原あいはら ちから 先生

(聞き手 組織部)

絵画1959年生まれで宮城県のご出身。長女、長男、次男と3人のお子さんを育てられ、現在、長女、長男は独立、妻と次男との三人暮らし。
医療福祉生協との出会いは、医学部の学生時代。同じ医学部の友人が医療福祉生協の奨学生であったことで自身も奨学生となりました。医学部を卒業後、東京保健生協医局へ入局。東京健生病院での勤務を経て、2002年から竜泉協立診療所勤務、2006年から所長となられました。診療地域の一つである山谷地区は、大阪・あいりん、横浜・寿と並んで「日本三大ドヤ街」とも言われています。ドヤ街とは、「寄せ場」とも言い、日雇い労働者が集中して集まっている場所で、生活保護受給者が多い地域でもあります。現在は、住民の高齢化によりドヤ街独特の雰囲気(道路で焚火をし、車がその人たちを避けて通るなど)も緩和、また、NPO法人や行政の介入で健康管理が行き届いており、孤独死も無くなってきています。
逆に一般地域在住であっても生活保護を受けておらず、ぎりぎりの生活を強いられている方々の社会的問題が課題であると相原先生は言われます。

総合診療医(1つの臓器や疾患にとらわれず総合的な診療能力を有する医師のこと)として在宅医療を行う中で興味深いエピソードをたくさんお聴きしました。2000年に入り、地域の居住環境はずいぶん改善されてきているが、地域特有の印象として、居住環境の悪さは残っています。ある患者は、5年以上寝たきりで、風呂にも入っていませんでした。居室の2階のベッド上で排泄するため床は排泄物やごみで腐り、雨の日は老朽化した家の雨漏りで1階は「汚水の雨」。往診の際は家の中でも傘が必要でした。独特な地域、患者層ではありますが、患者との人間関係構築は楽であると相原先生。世間体に縛られていない人が多く、(医師や行政などの)立場を前面に出す相手を嫌う患者が多い。そのため、患者とはフラット(水平)なコミュニケーションを心掛けているそうです。

相原先生は患者にはもちろん、スタッフにも心の垣根なく接してくださる、何でも話しやすい先生です。空手で鍛えられた身体は62歳とは思えないほど若々しく、活力に満ちています。また、サックス奏者であり、絵画の腕前もプロ並みです。