事業所活動報告 介護の現場から

にじの家でのコロナに関する1事例

千石にじの家 介護福祉士 加藤 桂子
千石にじの家

千石にじの家の外観

Aさん(95歳)は昨年の1月に新型コロナウイルス感染を発症しました。入院中は容体が悪化し呼吸器装着の必要性を医師から説明されましたが、ご本人の強い希望で使用しませんでした。その後、重症肺炎の治療を受け奇跡的に改善したので2月には一旦退院しました。しかし、退院後3日ほどで重症肺炎が再発し再び入院となりました。3月初めに退院し、千石にじの家の利用開始となりました。

入院前は要介護1で介護保険サービスはヘルパーさんを週1回利用していましたが、入院中に要介護4の認定を受け、在宅酸素療法が開始され車椅子・つなぎ着用の状態での退院でした。

千石にじの家の利用時は、車椅子に酸素ボンベをつけ来所。フロアーでは在宅酸素濃縮器を使用して過ごしましたが、労作時だけでなく会話でも血中酸素濃度が80%台になることがよくあり、その度に「苦しい」と訴え看護師が対応をしました。介護で家族が疲弊したことは、認知症が進行し特に夜間帯の尿失禁、オムツ外し、脱衣行為を繰り返すことでした。そこで千石にじの家では、2時間毎のトイレ誘導を開始。当初は誘導に拒否することもありましたが、声をかけながら継続して行ううちにオムツ外しや脱衣行為がなくなりました。夜間だけでなく日中の尿失禁もなくなりリハビリパンツから布のパンツを着用されるまでに改善しました。毎日の通いのサービス利用で生活リズムが整い、来所により他利用者様や職員たちとの会話等で体力がつき、認知症状の改善も見られました。

看護師の状態観察・対応、介護職員のケア(通いの送迎時には自宅にて訪問介護サービスも提供)により、4月には歩行が可能となり、6月には一人で近所のコンビニへ買い物に行けるようになりました。退院時に在宅酸素療法は一生必要と医師から説明を受けていましたが、酸素の必要もなくなりました。Aさんは新型コロナウイルス感染前の状態に回復し7月末で千石にじの家の利用を卒業しました。看護小規模多機能の介護・看護の一体的で柔軟なサービスを退院直後に集中して提供したことがこのような良い結果に繋がったと思いました。