病気Q&A「オミクロン変異株について」

回答者 大泉生協病院 院長 齋藤 文洋 先生

(聞き手 編集部)

Q 「オミクロン株」ってどんなコロナウイルスなの?

A オミクロン株って何でしょう?今、世界的大流行(パンデミック)となっている新型コロナウイルス感染症。このウイルスは遺伝子の微妙な変化により数かぎりのない種類(バリアント=変異種または変異株)があります。そのバリアントの中でもとりわけ人に影響が強く危険度が高いものに世界保健機構(WHO)が特別な識別名をつけています。それがアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、オミクロンなどで、ギリシャ文字を当てるルールになっています。第4波はアルファ、第5波はデルタ、そして今の第6波がオミクロンとして識別される新型コロナウイルスです。

(1)感染力、症状などについて
第5波のデルタまでは感染力、毒性共にどんどん強くなって変異のたびに凶暴なウイルスに変化してきました。

今回のオミクロンはどうでしょう。世界で最初にオミクロンが発見され、あっという間にオーバーシュートした南アフリカからの報告では、感染力はデルタの数倍。厚労省のデータでは1人の感染者が2〜3人に移すといいます。
しかし、重症化する人は5分の1、死亡は重症化して入院した方の中だけで見ても1〜2%です。
感染してから発症までの期間、いわゆる潜伏期が従来の5日程度から少し短くなって2〜3日程度。症状は熱、咳、咽頭痛、頭痛など。ほとんど普通の風邪で、今までコロナウイルスの特徴と言われてきた味覚障害・嗅覚障害はほぼ有りません。発熱しても2日程度で解熱。無症状の方が多いと言われた新型コロナウイルスですが、オミクロンでは軽度の症状の方もいれると無症状の人は多くはない様です。

オミクロンにはさらに亜型のBA・1、BA・2などがあります。特にBA・2が流行ると収束が遅れる可能性があると言われますが、ウイルスの強さやうつりやすさはそれぞれの亜型で変わりないようです。

(2)予防について
それではかからないためにはどうしたら良いでしょう。
これは従来からの方法に変わりありません。3密を避ける。手洗い。ただ、私たちは今強力な武器も手にしています。それがワクチン。アメリカ疾病予防局や英健康安全保障庁は、3回目のワクチンを受けることで発症予防効果が6〜7割、入院阻止(≒ 重症化予防)効果が9割になると発表しました。これはワクチンの種類によらず、また交互接種(1・2回目と3回目で違うメーカーのワクチン接種をすること)でも効果は変わらないようです。

(3)コロナに罹ってしまったら
それでも完全に予防できないのがオミクロン。もし罹ってしまっても慌てる必要はありません。重症化する確率は低いので、まずはゆっくり自宅で静養を考えましょう。熱が出ても大慌てで診療所や病院に駆け込んではいけません。まずは落ち着いていつもの先生に電話などで相談しましょう。電話が混み合っていたら繋がるまで気長に待ちましょう。そのくらいの余裕を持っても大丈夫です。罹ってしまうと10日間(症状がない場合は7日間の場合もあります)は自宅療養です。外出は原則できません。でも大丈夫、きっと、いつもの先生が自宅にいながらの健康観察をしてくれると思います。

さらにさらに!東京都では様々なサポートや案内・ケアを受けられます。病気の程度によって、入院が必要なら各市区町村の保健所が、入院と言うほどではないけれど重症化の要素を持った人は東京都フォローアップセンターが(連絡先は感染が判明した時にお伝えします)、そして50歳以下で重症化の要素を持たない軽い方・無症状の方は東京都サポートセンター(うちサポ東京:TEL 0120―670―440)が、それぞれ面倒を見てくれます。病気の相談や食事などの生活の援助も頼めます。では、私たちと一緒に東京保健のみんなでこの波を乗り越えましょう!

自宅療養サポートセンター