病気Q&A「パルスオキシメーターについて」

回答者 鬼子母神診療所 所長 高岡 和彦 先生

(聞き手 編集部)


生協組合員の皆様、デルタ株の猛威が原因の第5波も収束し2回目のワクチン接種も国民の過半数を超え「ウイズ・コロナ」へと生活様式が変貌しました。
密を避けマスクなど感染予防対策は引き続きお願い致します。
さて、今回のお題は「パルスオキシメーター」の解説です。日本呼吸器病学会のホームページには、以下のような説明があります。
「パルスオキシメーター」は皮膚を通して動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定するための装置です。赤い光の出る装置(プローブ)を指にはさむことで測定します。

パルスオキシメーター

Q 酸素飽和度とは?

A 肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれます。酸素飽和度(SpO2)とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているか、皮膚を通して(経皮的に)調べた値です。プローブにある受光部センサーが、拍動する動脈の血流を検知し、光の吸収値からSpO2を計算し表示します。加齢によってもある程度低下し、労作時にも変動します。

一般的に96〜99%が標準値とされ、90%以下の場合は十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態(呼吸不全)になっている可能性があるため、適切な対応が必要です。慢性に肺や心臓の病気のある患者さんでは、息苦しさや喘鳴などの症状が強くなり、SpO2が普段の値から3〜4%低下した場合は、かかりつけ医に連絡するか受診をしてください。

Q パルスオキシメーターで正しく測定するには?

A 測定結果に誤差を与える要因がいくつかあります。体動によって発光部と受光部がずれる場合や、指先の冷えなどで測定部に血流が十分にない場合、マニキュアなどで光の透過が邪魔される場合などに、正しく測定されないことがあります。SpO2は一定時間、あるいは一定の脈拍毎に得られた値を平均して表示していますので、装着直後ではなく、脈拍が安定する20〜30秒後に数値を読んでください。

Q コロナ肺炎の在宅療養で注意することとは?

A 「新型コロナウイルス感染症診療の手引き(5.2版)」の重症度分類にも酸素飽和度が出ています。軽症は96%以上。中等症のIは93%〜96%。中等症IIは93%以下。と分類され中等症IIでは呼吸不全があり酸素投与が必要になります。

人は体内に取り入れる酸素が少なくなると息苦しくなります。エベレストなど高い山では平地に比べ酸素が少なくなり酸素吸入が必要になります。新型コロナウイルス感染症で肺炎になると、正常な肺が少なくなり酸素を取り込むことが出来なくなります。体は酸素欠乏となり「パルスオキシメーター」の数値が低下します。丁度、エベレスト登山のように酸素吸入を行わないと生きる事出来なくなります。

しかし、新型コロナウイルス感染症による肺炎が進展した場合、低酸素血症(ハイポキシア)が起こり、酸素飽和度が下がっているにも関わらず、あまり息苦しそうな症状が見られないまま重症化し、命に関わる状態に至る事があります。この自覚症状の少ない低酸素血症を「ハッピーハイポキシア」と言います。コロナ肺炎で在宅療養している場合など自覚症状が軽いからと言って油断せず「パルスオキシメーター」で酸素飽和度を測定して体調管理を行う事が大切になります。

重症度

軽症

中等症I
呼吸不全なし

中等症II
呼吸不全あり

重症

酸素飽和度

SpO2≧96%

93%<SpO2<96%

SpO2≦93%

 
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5.2 版P34
「重症度分類(医療従事者が評価する基準)」より一部抜粋