病気Q&A「インフルエンザについて」

回答者 東京健生病院 感染管理認定看護師 舘野 美冴

(聞き手 編集部)

Q 感染対策の基本とは?

A インフルエンザ感染症はインフルエンザウイルスが体内に入り感染し、1〜3日後に発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛や咳、鼻汁などのかぜ症状が起こります。約1週間程度で治るものですが、一般的に小児はかかりやすいのですが症状は軽く、高齢者は重症となることもあります。
感染する経路は新型コロナウイルスと同じく、感染者が発するつば、しぶきが目鼻口を介して体内に入ることで感染します。感染対策はマスクを正しく着用し、人が集まるような場所ではうつさない、もらわないように注意しましょう。
手についたウイルスから感染しないために石けんを使った手洗いは大切です。アルコール性手指消毒剤の活用も対策になります。

病気Q&A「インフルエンザについて」

家族の対応について
感染した方も周りのご家族も自宅内でもマスクを装着し、食事の時間をずらす、別の部屋で過ごすなどの工夫ができるとよいと思います。まずはこまめな手洗いをしウイルスを眼鼻口から侵入させないようにしましょう。また、ご家族も感染しているかもしれないので、人の集まる場所は数日控えるなどできるとよりよいと思います。

Q 風邪との違いは?

A 一般的な風邪もいくつかのウイルスに感染することで引きおこる感染症で、数日間、咳、くしゃみ、鼻汁、鼻づまりなどのかぜ症状で終わります。
一方で、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症は重症化し、命の危険に及ぶ可能性があるので注意が必要です。また、周囲に感染する威力も強く感染が広がり生活に支障が出てしまうことが問題です。喘息などの呼吸器疾患、心不全などの循環器疾患、腎不全や透析をしている方、糖尿病などがある方は、重症となったりほかの感染症を引き起こしたりするので注意しなければいけません。

インフルエンザ脳症
主に乳幼児や小児に対しインフルエンザウイルス感染症をきっかけにおこる急性脳症を言います。発症すると急速に状態が悪化するもの、数日かけて状態が悪化するのもがあり、死亡に至ることや後遺症が残ることがあります。原因ははっきりわかっていません。
けいれん、意識障害、異常な言動・行動がなどの症状がみられます。重症の場合はずっと眠ったままになり、軽度では視点が合わない、あやしても声を出して笑わない、自分の名前が言えない、場所がわからないなどの症状が典型的です。けいれんの場合は熱性けいれんの場合もあるので、鑑別が必要となります。症状に気づいた場合には救急の医療機関にかかることが必要です。

Q 発熱した場合の受診は?

A 東京健生病院では発熱、風邪症状のある方は通常とは別の診察室で診察を行っています。発熱、症状だけでは新型コロナなのか、インフルエンザなのか、風邪なのか、はたまた違う感染症なのかは医師でもわかりません。診察、検査により診断を行い、感染症でないと診断されれば通常の対応で診察をしています。

発熱、感冒症状で受診される場合はまず事前にお電話でご相談ください。診察が可能な時間をご案内します。受診される方が多いとご希望に沿えないこともありますが、院内の患者さんや職員に感染が広がらないように対策し対応しております。

Q インフルエンザワクチンはいつ打てばよいか?外来案内は?

A インフルエンザ感染症の流行は通常12〜1月に始まります。インフルエンザワクチンを接種後、おおよそ2週間くらいで抗体が出来上がり、有効期間は5か月までとされています。
12月中旬までにはワクチン接種を済ませておかれるとよいでしょう。

インフルエンザ、新型コロナも、ワクチンの効果は完全な予防とはなりませんが、重症化を予防することができます。健診センターまたは外来で予約を受け付けています。事業所によっては接種する日程が決まっているところもありますので、確認をお願いいたします。
また通院されている方は診察時に主治医にご相談ください。