コロナ禍のもとで、人びとの生命・安全・生活に直接かかわる対人的な仕事である、ケア労働の重要性が誰の目にも明らかになりました。ケア労働とは家事、育児、医療・介護などをさします。現在、東京保健生協では、260名の看護師、190名の介護職が、30の事業所で活躍し、ケアを担っています。そして連携を取りながら公正で平和な社会づくりのために活動しています。
活動の一部をご紹介
毎年、看護介護の活動実践報告の交流集会を行っています。看護介護活動では一番大きなイベントです。人事交流や他職場を知る機会とし、皆で作り上げることを大切にしています。また、テーマにもこだわっています。
12回目となる今年度のテーマは「あらためて見つめよう、つながろう〜新たな看護・介護の出発〜」3年間のコロナ禍が明け、制限された活動やつながりを取り戻そうという思いが込められています。23年度の9つの報告の中から診療所の一事例をご紹介します。
70代男性一人暮らしの通院患者のAさん。解離性腹部大動脈瘤が見つかり、都立病院に紹介し、無事手術を終え退院しました。しかし、Aさんは退院後も診療所に受診をしません。心配した診療所の所長がご自宅に訪問し「何かあればいつでも診療所に相談していいんだよ」と声をかけました。すると「実は入院費が払えない」と経済的な理由から、手術後も継続的に必要な外来受診も控えていることが分かりました。すぐに看護師が地域包括支援センターや都立病院の相談員に連絡し、年金が入る2ヵ月毎に支払う「分割納付計画」を立て支払うことができました。
看護師のSDHの視点で患者を捉える力、地域へとつなげる力が発揮された事例です。近年では、ハイブリット開催とし、他職種や組合員さんの参加者も増えています。多くの方に私たちの活動を知って頂きたいと思います。毎年12月に開催しておりますので是非ご参加ください。
先に述べた交流集会の実践報告や新人看護師の症例報告、各事業所の紹介など、活動実践を冊子にまとめています。冊子名の「Grows」は、私たちが専門職として成長し続けることを願って付けられました。
おすすめは、「元気の源コーナー」です。職員の元気に仕事ができる「源」を紹介するコーナーです。ジョブ飯(昼ごはん)やストレス発散法を紹介してきました。
看護介護冊子
ストレス発散法ゴスペル(歌う方です)
ジョブ飯
看護師が働き続けられる環境を求めて運動を行っています。ケア労働者と言われる看護師の処遇の低さが、コロナで浮き彫りになりました。2022年から処遇改善が段階的に行われてきたものの、対象を一部の医療機関に勤務する看護師と限定した制度でした。
そこで、全ての看護職員が対象となることを求めて署名活動を行ってきました。1月30日には、20万筆を超える署名を持って、全国の民医連の仲間と共に国会請願行動を行いました。看護師不足が慢性化する中、全ての看護師の処遇を改善することは、どこに住んでいても安心して医療を受けられることにつながります。
介護ウェーブは、「いつでも、どこでも、安心、安全な介護を!」を合言葉に、介護保険制度と介護職員の処遇改善を目指して取り組んでいる運動です。主な内容は署名活動です。昨年の介護ウェーブでは、「史上最悪」と称された制度改悪案の全面実施を先送りさせることができました。利用者やその家族、職員、地域の組合員の力が集結した結果です。
今年度の介護ウェーブも東京民医連目標18000筆に対し、19241筆の到達となっています。東京保健生協では652筆(目標1500筆)の署名を提出しています。また、パブリックコメント提出の呼びかけがあります。第2次国会提出に向けて引き続き介護ウェーブを推進し、介護する人・受ける人がともに大切にされる介護保険制度にしていきたいと思います。
多くの組合員さん、職員に署名のご協力をいただきました。本当にありがとうございました。